「宝探し」の本当の宝は「宝」ではなく「探し」にあり!

私は「宝探し」という遊びを職業にして16年になる、相当の変わり者です。

そんな私は宝探しが関わる人の人生と世の中を良くすると本気で思っているんです。今回はそんなお話をみちくさと共に。


私が仕事にした宝探しという遊びは宝を隠して、その場所を記した宝の地図を作って探したい人が探して見つけ出すという、実にシンプルな遊びです。3歳児でも楽しいと思える、人の本性に近い行動だと思ってます。だからこそ、奥が深い。
そもそもなぜ宝探しで起業したかというと単純に子供の時宝探し遊びが大好きだったから。特に自分で隠して友人に探してもらって喜んでもらえたことが無上の喜びでした。子供だったけど友人があんなに喜んでくれたんだから大人でもちゃんと作ればきっと喜んでくれるはずだとずっと思っていたら前職の旅行会社時代に200人位のお客様に宝探しを体験してもらうことが出来て、そのお客様(30‐40代が中心のお堅い企業)がめちゃくちゃ喜んでくれたんですよね。それが本当に嬉しくて、感動して、これを仕事にしたいと強く思うようになって、そのイベントの半年後に独立しました。以来16年、宝探しだけを扱って今に至ります。恐らく世界一宝箱を隠した企業としてギネス記録だと思います。


そんな宝探し業界の世界的権威として最近の宝探し的傾向を紹介します。
現在私達の宝探し専門会社タカラッシュには約23万人の宝探しの会員がいます。定期的に会員を集めてお話を聞いたりアンケートをとったりするのですが、そこにリアルな「宝探しの本質」があります。
面白いのは「宝探しの一番の喜びは何か?」と問うと、「探している途中の体験」が多数派なんです。宝の地図を見た時の興奮とか、宝を見つけた瞬間の感動とかじゃないんですね。
これは作り手からすると意外でした。作り手は入口の宝の地図とゴールの宝箱、そして全体を結ぶストーリーで参加者にサービスを展開するのですが、参加者の一番の喜びは私達のコントロール出来ない途中に起きているのですから!笑。


「探している途中の体験」とは具体的には家族で同じ問題を考えた時間とか、宝探し中のグルメ体験とかヒントを聞こうとして出会った人との思いがけぬ深い交流だったりと人それぞれで、その体験に参加者個人が意味をつけて「喜び」に変えている。
それこそ、宝を見つけるよりプロセスに興味が移っている会員のなんと多いことか(笑)。
「田舎町でのお土産屋のおばあちゃんとの出会いが最高だった。あのおばあちゃんに会いにまた福島にいきます!」とか、「長らく子供と何を話せばいいのか分からなかったがこの企画のおかげで会話が復活した!」のようなコメントは時に1000字以上の感謝の文として会社に届いたりする。


事実、会員アンケートによると、宝探しに参加しようと思ったきっかけはなんですか?という問いに対して、「宝物(賞品)が欲しかったから」と答える人は2割程で6割近くの参加者は「宝探しが面白そうだったから」と答えます。そして、リピーターになればなるほどこの傾向は強くなっていく。
団体で利用いただくイベントもこの傾向が最近顕著になってます。
宝を探してもらって発見した順番にチームに順位をつけて最後に賞品を渡すのがイベントの基本設定で、主催側は良い賞品を用意して射幸心をあおるというのがもともとの盛り上げ方でした。ところが最近は主催者から「チームビルディング研修で使いたい」という要望がとても多くなってきた。よくよく聞くと宝物を見つけられるかどうかよりそのプロセスの中に業務に近いチームワーク実習のような効果があるからそこを遊びで体験させてスキル向上に役立てたいということらしい。要約するにゴールする喜びよりもプロセスに価値があるということなんです。


宝(結果)より経験。これは前者の発見の喜びよりも体験の中に喜びがあるという話と同じだなと。これは面白いな、と思うのと参加者の求めているものが分かってきました。
それは、参加者は自分だけの体験に価値を感じているんだなということ。「主人公感覚」を求めてるとも言えます。
主催者に押し付けられる喜びとか思い出とか順位とか要らないよって。何がいいか、何にときめくかは自分で探すから。自分で選択するからという感覚ですね。宝探しという遊びはその引き金に過ぎないんですが、言い方を変えると引き金になりやすい素材だと言えます。なぜか?
宝探しとは自分の力で宝を探し出すという、そもそも自分が主役の遊びなんです。
探そうと自分で決めないと何も始まらない。結果、行動も自分で選択して進んでいくので主人公感が満載です。団体イベントはその傾向が特に顕著で自分で行動しようとしない人がチームにいるとそのチームのパフォーマンスは極端に落ちてしまいます。能動的に行動するということがどれほど大事が気付かされます。


そしてもう一つの理由は、めちゃくちゃアナログだからです。デジタルなスマホ上で完結せずに本当に探しに行かなきゃならない。宝の地図を持ちながら森の中、山の中、商店街を五感を使って探し回る。
ヒントを知っていそうな人に聞く、実際の景色と地図を見比べる等、効率が悪い分途中で沢山の予想外のことが起こる。このことが物語の主人公感覚につながっているんですね。
物語のヒーローがスマホでなんでもすぐに解決しては物語にならないのと一緒で、宝探しの主人公は自分の力で非効率に問題を自力で解決していくことで、その解決方法が心に残り、人に伝えたい思い出になっていく。遊びの中の苦労は買ってでもしろということです。


この主人公感覚を求めて毎年200万人以上の方が宝を発見していただいている。
逆に言うと現実社会では主人公感覚に皆さん飢えているのかも知れません。
与えられた仕事をこなす。先生が決めた宿題をこなす。自宅‐会社‐飲み屋‐自宅という毎日同じルートしか動いていない。冒険しようにもリスクが大きくて一歩を踏み出せない・・
そこで、宝探しという訳です。
主人公が自分で行く道を決めてそこで自分だけのストーリーを作る。
シンプルですが、実はこれこそ人生ですよね。そんな人生の仮想体験を宝探しで体験して自分で幸せを掴み取る喜びを感じてもらえたら、実生活でも自分の幸せにより積極的に取り組んでもらえるきっかけになるはず。世界中の人が宝物、つまり自分の幸せを自分で手に入れようとおもえたら世界はきっと平和になる!と私は信じてます。


だって世界は宝物に溢れてますからね。美味しいお店や素晴らしい景色、最高の結婚相手とか仲間、自分にあった職場や職務・・そんな宝物を探してみようとアンテナを張るだけで世界は大きく変わって見える。なんとなく途中下車して歩いてみるみちくさも楽しいけど、私はどちらかというと目的志向型のみちくさが好きですね。美味しいラーメン店に立ち寄るために30分遠回りをしたりとか、良くやります。たまに仕事よりラーメンを食べるためにこの駅に降りたのではと錯覚することがあるほど(笑)。
そんなワクワクで日常がおくれることって幸せじゃないですか?


生命科学の世界では人間は遺伝子を次世代に運ぶ運搬装置と捉えることが出来るそうですが、それって悲しいですよね。じゃあ俺は何のために生きてるんだろうって。その答えの一つが宝探しなんじゃないかと思います。人生、沢山ワクワクした者勝ちですから!
最後に、16年宝探しだけをしてきた視点で最近気づいたことをお伝えします。


●今は共感の時代だなと。写真をとっただけでは満足しない、誰かに見せて初めて完結する。宝探しも見つけてサイトで宝物を登録し、感想を書き込むまで1クール。逆にそうしない人はサービスに共感してくれていないともとれる。これからは商品を売るで完結させてはダメなんだろうなと感じてます。
●最近は宝探しの亜流で人探しに人気が拡がっています。ルールで人とコミュニケーションを取らせると意外な程喜ばれる。出会いとか存在承認を潜在的に求めている人が結構いる。
●めんどくさいの壁は大分低くなった。→これはモノからコトに消費行動が変化している表れと思うが、ひと昔前は宝を探しに行くという行為自体をメンドクサイといって行動しなかった人が大勢いたが、最近は内容・質を確認して判断するようになってきたように思う。特に、女子の皆さん。その結果、消費者に行動をさせるプロモーションやCMも10年前に比べて格段に増えた。
●情熱は商品に宿る。言葉そのまま

 

齋藤  多可志  (さいとう  たかし)
株式会社タカラッシュ 代表取締役社長
大学卒業後、大手旅行会社に入社。在籍8年間でトップセールスマンまで登り詰める。その後30歳で退職し、宝探しをビジネスにするという前代未聞の事業を立ち上げる

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