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これからの"女子力" ~女子力は人生を楽しむ力だ~

男性目線の女子力
2009年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされて以降、メディアで「女子力」という言葉を見かけない日はありません。小学館『大辞泉』によると、「女子力」とは「きらきらと輝いた生き方をしている女性が持つ力。


女性が自らの生き方を演出する力。また、女性が自分の綺麗さ、センスの良さを目立たせて存在を示す力」とあります。しかしメディアでよく使われている「女子力」という言葉はどちらかというと、男性目線で「女性らしさ」があるかないかという位置づけです。

「女性らしさ」を上げるための具体的なテクニックやスキルが紹介されていたり、その高低を判定する「女子力検定」なるものがあったり・・・。女性は「女性らしく」いなければならないという空気に、どこか居心地の悪さや違和感を感じる人もいるのではないでしょうか。


「女性は“女性らしく”いるべきなのか」
読売IS「WisEライフスタイル調査2013」*1によると、「女性は“女性らしく”いるべきだと思う」(グラフ①)という設問に対して、「そう思う」と答える割合が、若い世代(10代後半~30代)では、男女ともに5割前後で推移しており、「女性は“女性らしく”いるべき」といった女性らしさを求める意識はさほど強く抱いていないようです。

一方、40~60代男性は6~7割が「そう思う」と答えており、女性に対するイメージを強く持っていることがうかがえます。日本の社会で“女性らしさ”を求める価値観が形成される背景には、社会的に影響力のある中高年男性の志向が大きく影響していることが推察されます。

また、「女子力」という言葉が流通する中で、女性たちも、社会で賢く立ち回っていくため、そのような社会の価値観に影響された目線で自分たちを見て「女性らしさ」を意識せざるを得ない環境にあるのかもしれません。


「女性らしく」いることに疲れ始めた女性たちが「ありのまま!?」の女子会へ
女子会は今や女性同士のコミュニケーションの場として定番となっていますが、女性たちは、なぜ女性だけで頻繁に集まるのでしょうか。

読売IS「WisE行動ウオッチ調査2015」*2で、女性だけで集まることの良い点を自由回答で聞いたところ、「男性には理解してもらえないことが女性同士だと共感できるので気持ちがすっきりする」「遠慮なく話せる。

男性がいると内容やマナー、言葉を選ぶが女子会は平気」「男性の目を気にしないで会話ができる」「同性ならではの感性があるので男性抜きの方が自然体で話せる」「男性がいないので、余計な気を使わないで済む。

食べたい物を食べて、飲みたいものを飲む。男性が居ると出来ない話も出来て、とにかく気楽に過ごせる」「異性がいるときと違って気兼ねなく過ごせ、本音や素の自分を出しやすい」など、男性がいると気を遣ってしまい、本音が出せないという声や、同じ感性を持っている女性同士で共感し合いたいという声が多く見られました。

男性を意識しながら、「女性らしく」ふるまうよりも、自分が好きなものを食べ、好きなものを飲み、話したいことを話し、自分が好きなおしゃれをすることのほうが、数倍も楽しいと気付き始めたのかもしれません。また、情報や感覚を共有・共感したい女性たちにとって、同じ感性を持つ女性同士の集まりは、自然体でいられる心地よい空間のようです。


女性だけで集まることの魅力
女子校に居る感覚キラキラしている感じがする若々しい気分になれる

女性だけで集まることの魅力として、「女子校に居る感覚が心地良い」「学生時代の友達付き合いを思い出して若々しい気分になれる」「学生時代に戻ったようで年齢やキャリアに関係なく自由に発言できる」「キラキラしている感じがする」といった声もありました。

年を重ねるとともに、社会人、妻、母など、様々な役割を求められる女性たちにとって、社会人でも、妻でも母でもなく、自由にふるまえた学生時代の感覚は特別なものがあるようです。女性だけで集まって、たわいもない話をしているとそのような学生時代の感覚に戻るのかもしれません。

理由もなく、「ただ好きかどうか」「ときめくかどうか」で夢中になったり、「かわいいもの」「きれいなもの」が好きだったり・・・そして、その「かわいい」や「きれい」という感覚を誰かと共有したい、共感してもらいたい時、女性同士ほど分かりあえる存在はいません。


女性は一生「ときめく」存在を探している!?
女性はこれまでも多くのブームを作ってきました。男性の分野だと思われてきた野球や大相撲といった分野においても、女性たちは、「かわいい」といった感覚を持ち込み、自由に楽しんでいます。

さらに、その感覚を女性同士で共有することで、瞬く間に拡散し、ブームを作っています。読売IS「WisEライフスタイル調査2013」*1によると、「恋愛に限らず、何かに夢中になりときめいていたい」(グラフ②)という設問に対して、女性全体では約7割の女性が「そう思う」と答えています。

ライフコース別では、独身OLが最も高く78.7%、DINKS OL(69.9%)、働くママ(67.9%)、専業主婦(62.1%)と続いています。ライフコース別に多少の差はありますが、女性は何かココロをときめかせてくれるような存在を常に求めているのかもしれません。

 
これからの「女子力」
女性も社会進出を果たし、結婚や出産後も働き続ける共働き世帯の増加とともに、社会人、妻、母など多くの顔を持つ「忙しい」女性が増えています。

また男性と同等、もしくはそれ以上に働く女性も増え、女性も強く、たくましくなっています。一方、メディアでは、「女子力」が高い、低いという情報が流れ、現実社会では、いまだ男性目線の「女性らしさ」を意識せざるを得ない状況です。


だからこそ、「好きなもの」に夢中になったり、「かわいいもの」や「きれいなもの」を愛でたりする気持ちや時間は、女性たちにとってますます欠かせないものになっていくのではないでしょうか。それは、女性たちが社会人、妻、母という役割や責任から解放され、「ひとりの女子」に戻れる貴重な時間でもあるからです。

これからの「女子力」は、現在のように男性目線でデフォルメされた女性らしさを表すものではなく、あくまで自分の感性を大切にしながら、何歳になっても好奇心を失わず、女性としての人生を楽しもうと行動する力にフォーカスされていくでしょう。

企業は、本来女性が持っている「かわいい」や「ときめき」スイッチをいかにして押してあげるかが重要になっていくでしょう。また、その感覚を共有、共感したい女性たちが、情報を拡散したり、横のつながりを作りやすい環境を整えてあげる工夫も必要です。

そのためには、働き手として女性が増え、本当の意味で、女性がのびのびとその素直な感性=「女子力」をはばたかせることができるような社会になることを期待します。

 

*1 WisE「ライフスタイル調査2013」
 調査期間/2013年2月1日~2月5日 
 調査対象者/一都三県に居住する15~69歳の男女
 有効回収数/男性1,092 女性4,189サンプル
 調査方法/インターネット調査
 実査/株式会社インテージ

*2 WisE「行動ウォッチ調査2015」
 調査期間/2015年3月27日~4月2日
 調査対象者/一都三県に居住する20~69歳の女性で 女性同士で集まる女子会を行ったことがある人
 有効回収数/一次調査10,369サンプル
 二次調査 3,005サンプル
 調査手法/インターネット調査
 実査/株式会社インテージ



【WisEとは】?

読売ISは2006年「オンナゴゴロ研究所“WisE”」を設立しました。データに基づく生活者目線の提案を行うことで、クライアントのマーケティング課題、コミュニケーション課題を解決するソリューションを提供していきたいと考えています。


西尾 さやか (にしお さやか)
株式会社読売IS マーケティング本部 マーケティング部
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