Capital A CEO
アジアで最も認知度の高い起業家の一人であるトニー・フェルナンデス氏は、カマルディン・メラヌン氏と格安航空会社AirAsiaを共同設立し、地域の航空旅行を民主化したことで知られています。
2018年以降、フェルナンデスは事業のデジタル化を率先して進め、2020年10月にはAirAsiaのスーパーアプリを立ち上げ、フライト、ホテル、食品、食料品、健康サービスを提供する総合的な旅行・ライフスタイルプラットフォームとした。
現在は、フィンテックや物流など、相乗効果の高い多様な事業ポートフォリオを持つ投資持株会社Capital AのCEOを務めている。
多様な業種を入り口に、プラットフォーマー(海外ではスーパーアプリという)へと進化しているプレイヤーの中で、AirAsiaの取り組みはインクルージョンという哲学が貫かれている事例である。起業家として尊敬するTony Fernandes 氏のインタビューから彼の情熱と冷静さ、そして限りない将来への思いを感じていただきたい。
───冒頭に、トニーさんの簡単な自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。
Tony 私は大きな賭けに出ました。私たちがグループ会社をAirAsiaグループからキャピタルAに変えたのは、松風さんがこの特集テーマとして挙げたように、航空会社からそれ以上のものに変貌を遂げたからです。世界のベスト・ローコストエアラインに10年以上輝いているからこそ、AirAsiaと言っている限り、人々にAirAsiaグループを単なる航空会社以上と見てもらうことは困難でした。しかし、Capital Aは、航空、エンジニアリング、スーパーアプリ、テレポート、フィンテックの5つの主要な会社から構成されています。Capital Aは航空から生まれた会社ですが、今は航空ビジネスで得られた膨大なデータを使って、価値に基づいた旅行とライフスタイルのエコシステムを作っています。
───AirAsiaをより幅広い事業グループにするきっかけは何だったのですか。
Tony 20年前に起業したときから、こうしたビジョンは常にありました。Virginのリチャード・ブランソン氏(Virginグループの創設者)の影響もあります。彼は多くの会社からなるグループを創り出しました。彼はVirginブランドを各社に適用したわけで、私は、ブランドは本来の目的よりもはるかに多くのことに使えると感じたのです。
しかし、私は、ブランドというものが、広い意味で横断的に構築されるものだとはあまり信じていませんでした。AirAsia以上のビジネスを創りたいとずっと思っていて、プライベートではTune Talk(マレーシアのMVNO)や保険会社をやっていました。しかし、これらのビジネスカテゴリーに、既に知名度のあるAirAsiaのブランドを使うことができるのではないかと思うようになり、COVID-19の直前に実行し始めました。航空会社の貴重な資産の一つは実はKYCデータ(注1)であり、私たちはGrab、JD.com、Gojekなど他のブランドよりもはるかに豊富なデータを持っていると考えています。さらに、AirAsiaのブランドはより高い取引単価のもとにできています。
ですから、Amazonがやったように、Virginがある程度やったように、AirAsiaブランドのもとに、これらのビジネスを構築することは理にかなっていると思います。彼らのビジネスカテゴリーは、すべて私たちのエコシステムの中にあります。
旅行に行くなら金融サービスが必要です。両替も決済手段も必要です。私たちは人を運んでいます。だから、ロジスティクス事業を拡大しました。最終的に、私たちのAirAsiaのチケットを販売するアプリはアジアで最も大きなアプリの一つとなり、これは大きな資産だと思いました。でもなぜ、AirAsiaのチケットだけを売らなければならないのか?
古典的な例はデパートです。高島屋に行けば、高島屋の商品だけが売られているわけではない。他の商品も売っているのです。そこで、「人々の役に立つと証明できるライフスタイルアプリをつくり、他のものを売ることができないか」ということでスーパーアプリに進化したのです。
これ以前にも、Tune Talk、Tune Protect(保険)、Tune Moneyがありました。これは時代の最先端でした。Tune ...