経営はアート

実績をあげておられる経営者の感性は鋭い
今回は、縁あって『経営はアート』というテーマで記させて戴く事になりました。その縁の切欠は、総務省(その前は行政管理庁)から発行されている『行政と情報システム』に連載していた『システム化のコツ』で記した『経営はアート、管理はサイエンス』(2009年6月号第174話)であったと聞いています。

改めて、その記事を読み直してみましたが、その本質は、今でも変わっていない気がしています。いや、今の方がより強く意識したい時代になっているとさえ思えてきます。


私自身、40年以上に亘る経営コンサルタント人生の中で多くの尊敬すべきトップの方々とお会いして参りました。その中で、実績を上げられている経営者には、3つの特徴があると認識しています。


1つ目は、『素直』であること、そして2番目が、『貪欲』であること、そして3番目が『感性』が鋭いことです。勿論、論理性が長けた経営者の方々は多くおられますが、その意志決定においては、『感性』の方が優先している場合が多いと感じています。
この『感性』こそが、『経営のアート』を支えている気がするのです。


実は、30年程前の事ですが、海外で新任経営者向けのセミナーに参加したことがあります。その時『CEOの役割は、正しいことを推進する事ではなく、存在価値(アイデンティティー)を活かしてやりたい事を推進する事だ。』と言われたことが印象に残っています。


この事は、私の人生にも大きな影響を与えてくれました。経営は、『サイエンス(科学)』ではないとの認識と仮説が生まれてきたのです。


もし、経営を『サイエンス』で行うとしたら、どの会社も同じようになってしまうでしょう。自動車メーカーにも様々な特徴がありますが、その特徴こそが存在価値であり、魅力であると思うのです。言い換えれば、経営は、「海に行くか、山に登るか、はたまた湖を目指すか」というような判断をする役割を担っている。『正しい⇔正しくない』の判断では無く、『やりたい⇔やりたくない』の判断であると思うのです。勿論、判断した後で成功に導く為には、『正しい⇔正しくない』の判断も必要になってくることは言うまでもありません。先ずは、『右脳の意志決定』が、エネルギーの源になっていると感じるのです。

 

『右脳の意志決定』と『左脳の意志決定』のエネルギーの大きさ
 『右脳』と『左脳』につきましては、さまざまな意見も御座いますが、概ね
『左脳の意志決定』:正しい⇔正しくないを論理的に判断するモノ
『右脳の意志決定』:やりたい⇔やりたくないを情熱や憧れで判断するモノ
と私は認識しています。さて、この意思決定のエネルギーはどちらが大きいでしょうか?


車を購入する場合の意志決定を例えとして考えてみましょう。移動する手段、親を病院に連れて行く為に車を購入するとします。『左脳による論理的な意志決定』です。この時、確実に移動できれば安い方が良いと判断するでしょう。とすると、中古で50万円も出せば目的を達成する車を購入する事は可能です。ところが、『右脳の情熱による意思決定』になるとどうでしょう。欲しい車を購入したい、どうしても、その車を新車で購入したい。と思えば、500万円支払っても購入してしまいます。また、『右脳の憧れによる意思決定』となると、一度は手にしたかった車、憧れの車、予算が許せば、5000万円でも購入してしまいます。どうでしょうか? 一桁ずつ金額(価値)が変わってくるのです。腕時計しかり食事に於いても同じような事が言えてしまいます。企業に於けるシステム化投資金額についても同様に思えます。意志決定の仕方で、これほどエネルギーの大きさも変わってしまうのです。

 

エネルギーを最大化する為の『右脳の意志決定』:ビジョニング
上記のように、右脳による意志決定のエネルギーの大きさを実感する中で、再認識したい事があります。ここに『アート』感覚の重要性があるのです。言い換えれば、納得ではない世界の徹底です。人間の脳は、「左脳と右脳は一緒に働かない」と言われています。確かに右脳でゴルフのスィングをしようとしている時に、後ろから論理的にフォームの話をされると、思いっきりスィングすることが出来なくなってしまいます。思いっきり走っている時にも論理的に指摘されると足が止まってしまいます。自然に出来ているスキップも左脳で考えるとぎこちなくなってしまいます。

 

要は、右脳に徹底した『意志決定』が出来る環境の準備が必要なのです。
右脳が活性化した状況下では、α波が出ていると言われています。これを支えているのは、五感、その発達している五感をフルに活かして『夢』を描くのです。映像と共に音声も聴こえてくれば、最高です。映像に描けるという事は、かなり具体的になっています。その憧れを具体化する事で、エネルギーは最大化するのです。

 

その大きな夢を描くプロセスを『ビジョニング』と呼んでいます。
『あるべき』⇒『したい』に変換するプロセスです。この憧れの状況(映像)を組織全体で共有する事で、組織のエネルギーが最大化すると思っています。これぞ、まさに『経営者の最大の役割』であると思うのです。ここで描かれた映像は、その組織ならではの、他社が目指さない、他社が出来ない、唯一の『アート』になっていると思うのです。

 

『アート』を確実に実現する為の『サイエンス(仮説検証プロセス)』
ただ、『アート』を実現する事は、容易な事ではありません。その夢が大きければ大きいほど、難題は沢山あるでしょう。ただ、難題が多いほど、マーケットバリューが大きいであろうことも想定できます。
そんな『アート』に挑戦したいものです。

 

その大きな『夢(アート)』を確実に実現する為に重要な手順があります。それは、『仮説検証プロセス』です。この『仮説検証プロセス』を短時間で廻す事で、確実にそしてスピーディーに『夢(アート)』に近づけるハズです。このプロセスは、『サイエンス』であると言って良いでしょう。論理的に粛々と進めたいプロセスです。

 

この仮説検証プロセスの中で気をつけなければならない事が1つあります。それは、『成功体験』にしがみついてはいけないということです。成功は、たまたまの事も十分にあり得るからです。一方『失敗体験』は、有効です。その失敗の原因を除去できれば、同じような失敗を避ける事が出来るようになるからです。(失敗には必然性がありますが、成功には偶然性が潜んでいるのです)『失敗学』は、有効な成功へのアプローチ方法であると認識しています。
いずれに致しましても、『アート』を目指すと、『改善的成長』ではなく、『革新的成長』を目指すことになる場合が多くなると思います。が、その挑戦こそが、企業の存在価値を高めることに大きく貢献する気がしています。

 

イノベーション成功の5つの鍵
蛇足ではありますが、『革新的成長』には、大きな犠牲(投資など)が伴ってしまう事は、覚悟しておきたい処です。それ故、『右脳による意志決定』や『アート感覚』による『こだわり』や『執念』が、必要不可欠であると思っています。まさに『諦めなければ失敗はない』という信念が確実に実現へと導いてくれるのです。


最後に『革新的成長:イノベーション』成功の鍵を5つほど紹介したいと思います。

 

Ⅰ:情熱
 これが全てのエネルギーの源です。諦めない気持ちが必ず実現に導いてくれます。
 まさに、『諦めなければ失敗はない』です。

 

Ⅱ:巧みな戦術
 総力を結集する為に、5つの戦術からの的確な選択が効を奏します。時間軸と発展性を意識し た巧みな戦術の選択が、効率的な推進に役に立ちます。

 

Ⅲ:人の力(知恵も)を借りる工夫
 ここで、特に意識したいのは、力だけでなく知恵も借りようとする貪欲さです。結果的にスピーディーにWin-Win-Winを創造するには、この方が効率的であることに間違いはあり ません。不要な『メンツ』がこれを妨害してしまいます。
 もっとも重要な要素であると認識しています。
 貪欲に力も知恵も借りましょう。

 

Ⅳ:タイミング
遅すぎるのは勿論ですが、早すぎても無駄になってしまいます。タイミングの管理は、とても大事です。

 

Ⅴ:スピード
経済スピードと最速スピードを認識した上で判断したいものです。無理なモノは無理なのです。 シッカリ把握した上で、迷惑を掛けない意志決定を行いたいものです。

 

いずれに致しましても、大きな夢(アート)を実現する為には、Win-Win-Winのスタンスは、肝に銘じておきたい処です。

岡崎  宏行  (おかざき ひろゆき)
株式会社ジェーエヌエル 会長
株式会社マロネイト 社長
株式会社日本ビジネスシステムズ 会長
株式会社営業モデル研究所 社長
センチュリーイノヴェーション株式会社 会長

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