(こちらの記事は、マーケティングホライズン2020年4月号『男性消費図鑑』に記載された内容です。)

1.お小遣いの比較【図1参照】


男性の一か月あたりの平均は3.48万円(2019年)、トレンドでは各年代減少


1997年(消費税5%導入)から2019年(消費税10%導入)までの1カ月当たりのお小遣い(平均値)をみると、全体としては金額そのものが減少傾向にある、2008年のリーマンショックに平均値3万円台に落ちてからは、4万円台になることはない。

年代別にお小遣いの額を比較すると、特徴的なのは50代。1997年は、50代が最も多かったが、2014年ころからは、未婚率が高いだろう20代のお小遣いが最も多くなる。

50代については、会社での飲み会を嫌う若者などの増加の影響など、使う場面が少なくなったのか、もしくは、ファストファッションなど、価格が安い消費やサービスが増えるなかで、必要なお金が少なくなったともいえる。

男性60代以上では、他の年代と比較すると少ない傾向にある。高齢期に備える気持ちが強くなったこと、また、仕事第一に生きてきた同世代にとって、仕事がらみの付き合いが少なくなり、必要な金額が少なくなったことも考えられる。


女性の一カ月あたりの平均は2.14万円(2019年)、トレンドでは横ばい、緩やか減少

20代女性のお小遣い(平均)が最も多く、2019年で3.43万円。男性と比較すると、お小遣いは全体に少なく、金額は横ばいもしくは緩やかに減少傾向にある。また男性は60代以上のお小遣いが最も少ないが、女性では異なり、その額は40~50代と同程度である。金額はトレンドとしては少なくなっており、超高齢時代のなかでは使える金額はより限られると感じているのではないか。

女性はいつの時代も、使える金額は大きくは変わらない。一方で、楽しい消費が拡大しているようにみえるのは、彼女たちの情報共有や発信力が高いこと、また、お金を使うこと自体が彼女たちにとって是であり、効果的な使い方となっていることが考えられる。


2.具体的に何に消費をしているのか【図2参照】


一般的に働き盛りで消費対象が多い30~50代の状況を確認する。「お金をだすことに幸せを感じる相手(上位3項目)を確認すると、未婚男性では、自分自身にお金をかけることが最も幸せであり、一方、有配偶者の場合には、家族・親せきが多く、2番目が自分自身である。

女性も同様の傾向であるが、有配偶者の場合は、女性40代で、自分自身にお金をかけることが幸せを感じる人が多く、子育てや仕事のストレスとしての買い物を求める可能性がある。消費と幸せがつながっていることがわかる。また、女性50代未婚では、自分自身だけでなく、高齢期を見据えてか、「グループや友人」を「幸せを感じる相手」とあげる人が増えるが、男性では異なる。女性は消費が課題解決にもなっていることがわかる。


3.お金をかけている領域(上位5項目)【図3参照】


上位にあげられたのは、「自分の趣味、好きなこと」「食べ物」「旅行」「健康」「貯蓄」である。男女とも未婚・単身者はどの年代も、有配偶と比較すると、「自分の趣味、好きなこと」にお金をかける割合が高い。男性は40代で「自分の趣味、好きなこと」にお金をかける割合が高まるが、50代ではその割合が減り、「健康分野」が増える。

女性は、年齢を重ねるほど、「自分の趣味、好きなこと」への消費の割合が減る。特に50代になると、男性よりも「健康」にお金をかける割合が増える。年齢を重ねるほど、健康は生活を楽しむための前提である。

有配偶は、男女とも年齢が高くなるほど、「自分の趣味、好きなこと」にお金をかけるようになる。また、男性は50代になると、食べ物にお金をかける割合が少なくなる。これも、仕事上の付き合いが減ったことによるものなのか。反対に女性は増える。自分の趣味や好きなことと連動していることから、その一部であることも想定できる。

貯蓄について、未婚者は横ばい傾向、有配偶者は、40代で減るが、50代で増える。貯蓄にまわせる可処分所得があるかどうかの差といえよう。


4.後輩は今もおごってもらっているのか【図4参照】


お金を出して幸せな相手には多くあげてはいないものの後輩におごる文化は残っているのかをみると、20代では約3割を占めることがわかる。20~40代では、20代が最もその恩恵にあずかっていた。1カ月の平均は20代で8,769円と他の年代と比較して高い。


5.社会貢献消費と若者【図5・図6 参照】


数年前から、若者たちは就職を決めるときに社会に貢献する企業を好むといわれる。トップインタビューでは、これから若者がお金をかける分野として「エシカル消費」があげられた。では実際にはどのようにお金を使っているのだろう。

SMBC コンシューマーファイナンス株式会社「20 代・30 代・40 代の金銭感覚についての意識調査2020」をみると、20~40代男女は、「多少高くても、社会のためになる企業の商品・サービスを購入したい」という希望は3割程度である。

一方、本調査から実際に、「地球環境や人権などに配慮した商品・サービス」にお金をかけている割合を確認すると、20代17.1%、30代20%、40代18.4%となった。気持ちを行動にさらにうつすためには、商品カテゴリーや種類、そして価格帯がさらに多様になること、また、具体的な取り組みをわかりやすく知ってもらうことが重要となる。

クリックして拡大(図1~6)

 

中塚 千恵(なかつか ちえ)
東京ガス株式会社
日本女子大学文学部卒業、東京ガス株式会社入社。同社都市生活研究所で、約20年間、食、住まい、入浴、単身者、富裕層などのライフスタイル研究を行う。並行して、法政大学経営学大学院でマーケティングを学び、法政大学スポーツ健康学部では、スポーツマーケティング論を担当した。
現在は、CSR、環境、コンプライアンス部門を経て、東京ガス東部支店支店長。著作に「できる人の書斎術」(新潮社)など。

日本は少し改善するも、
行政や民間での女性リーダーシップに対しての偏見は根強い結果に

 

マーケティングのインサイトとコンサルティングを手掛ける世界トップ企業であるKantar(日本本社:東京都渋谷区、代表取締役会長:大竹秀彦、以下、カンター)は、世界約80カ国、350人の各国の女性政治家が一堂に会し、国際的な課題などについて意見交換するグローバルネットワークである「女性政治指導者(WPL)サミット」と共同で、リーダーシップに関する男女の平等性について世論調査を行い、カナダとフランスが最も平等性の高い国であることを、本日発表いたしました。

(こちらの記事は、マーケティングホライズン2019年10月号『インビジブル・マチュリエンヌ』に記載された内容です。)


「推し」とは何か
2019年7月期、NHK で「だから私は推しました(全 8 回)」というドラマが放送された。「推し」という言葉は、ついに全国区となりつつある。

一生懸命がんばるしかない日本型の仕組み
日本型の働き方というのは、よい面も多々あり、その逆に困ったこともあります。よくある「全廃して欧米のように」という話は拙速ですね。

従来は女性向け商品として女性タレントが起用されていた、白物家電や加工食品・調味料等のCMで、イケメンタレントを多くみかけるようになった。

「女子力」という言葉が世の中にでてきたのが、ちょうど2009年ごろ。

後期高齢女子の出現
先日観たテレビ番組に「おおっ」と感じた場面があった。

「女子力」という言葉が流行語となってすでに数年が経過した。一過性の流行かと思いきや、旅行パンフレットや居酒屋の宣伝にも「女子会」というキャッチフレーズが踊り、「女子」という言葉もメディアで定着した感がある。

女子という言葉の拡大
女子力の高い男性が増えているという。女子的な要素は男性にも波及し、市民権を得た。

男性目線の女子力
2009年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされて以降、メディアで「女子力」という言葉を見かけない日はありません。小学館『大辞泉』によると、「女子力」とは「きらきらと輝いた生き方をしている女性が持つ力。

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