日本でも広がるフェイクニュースの背景と対策

フェイクニュースが瞬く間に広がる理由
昨今よく聞かれる言葉に「フェイクニュース」があります。アメリカ大統領選挙で、ソーシャルメディアを介してその数が爆発的に増えて注目されました。

海外の話のようですが、実は日本でもデマと呼ばれて昔から存在していました。例えばオイルショックの紙騒動や、株価操作で利益を得る目的で虚偽情報を流すといったものです。記憶に新しいものでは、東日本大震災や熊本地震でも根拠のない情報が流れ、悪質なものでは逮捕者も出ました。冷静に考えれば、裏付け情報等を確認することも出来るでしょうが、平時とは異なる精神状態にある人々は、信じ込んでしまう傾向があるのも特徴です。


マスメディアの時代は、デマもまだ限定的で情報の出所も特定しやすかったことから抑え込むことも比較的行いやすかったのですが、ソーシャルメディアが隆盛を極める現在は、誰でも簡単に情報発信やシェアを出来ることから、デマの拡散に拍車がかかっています。フェイクニュースが瞬く間に広がる理由のひとつには、自分がよく知る信頼した人物から回ってきた情報を鵜呑みにしてしまうことにあります。

 

これは口コミと同じ原理です。情報へのバランス感覚を失った状態で好みのニュースを目にすると、信じ込む、または信じたくなる、という状況が生まれるのです。インターネットは仲間が集まるコミュニティを形成する一方、自分たちとは異なる集団との対立を一層に際立たせることが分かってきました。それに拍車をかけているのがフェイクニュースなのです。


代替的な事実(alternative fact)
ソーシャルメディアをたくみに利用し当選したトランプ大統領は、明らかな虚偽の情報を指摘されると「代替的な事実(alternative fact)だ。」と説明しました。政治の世界では、見解の違いや都合の良い情報を真実の様に伝えることは多々ありますが、大国の大統領がここまで一目瞭然のウソを堂々と言ってしまう時代が到来しているのです。これもウソを真実ととらえる民衆がいることを計算しての事だと考えられます。


扇動的な虚偽情報が社会を分断し、テロなどの反社会的思想や行為を助長しているという指摘もあります。有害なフェイクニュースを発信する理由には、政治的動機や、単に人々が飛びつきそうなニュースを作り上げて、広告収入を得ようとする経済的動機があります。他には愉快犯的に悪ふざけで流す場合もあります。スマホひとつあれば簡単に情報発信が出来る今の時代は、趣味や暇つぶし程度の感覚も考えられます。


フェイスブックやグーグルなども抑止に向けて動き出してはいます。しかし、何をもって有害なフェイクニュースとするかは曖昧で、人口知能(AI) である程度までは確認できますが、大量の情報を最終的に人の目で確認することも必要なため、その選定はきわめて難しいタスクといえます。普段は裏付けに基づいて報じている主要メディアも、聴衆が冗談だと理解できるという前提で、事実ではないことを事実の様に報じます。

 

中にはものすごくリアルな話で本当に信じてしまう場合もありますが、騙されるかどうかが醍醐味であって、プラットフォーム側でその答えをはなから出してしまうと、文化の面白みが削がれてしまいます。



世界中で大きな影響力を及ぼすフェイクニュース
行政もフェイクニュースにただ手をこまねいているわけではありません。ドイツやシンガポール、英国等が法律で規制すべきという議論を進めていますが、国が不適切な報道を取り締まるというのは、言論の自由を制限する検閲になりかねないとして、こちらも賛否両論あります。一部の独裁的国家では、マスメディア同様にソーシャルメディアが厳しく規制されているのは、民衆への影響力の証です。


ソーシャルメディアは市民のコミュニティ形成を促し、言論統制のある国でも大きな民衆の力を集結し、アラブの春に代表されるような抑圧的な体制に対する反対運動の助けとなりました。一方、欧米の民主主義圏では、ソーシャルメディアが良くも悪くも世論に影響を及ぼし、社会を分断し近年のアメリカや欧州での選挙では、一触即発の雰囲気を作り出しています。


このように世界中で大きな影響力を及ぼし、社会問題化しつつも一筋縄にはいかないのがフェイクニュースなのです。インターネットが広く普及している日本でも、いつデマが暴発し思いもよらない損害を被るか分からない時代が到来しています。ユニークな携帯文化が発展した日本では、個人のソーシャルメディア利用も盛んで、フェイクニュースは日本でも対岸の火事ではありません。災害同様に日ごろからの備えがとても重要です。

 

フェイクニュースを見分ける主なポイント
●事実確認をする習慣を作る:そもそも誰の発言 か、情報源の信憑性や一方的な立場の発言でないか、除外されている事実はないかなど、シェア する前に事前確認をしましょう


●自分の信念や潜在意識の傾向を知る:自身の信 念や期待に沿って情報や証拠を求めて解釈しよ うとしていませんか。出来るだけフェアな判断 をするように努めましょう

 

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正しいマーケティング戦略には、正しい情報を。“How to combat FAKE NEWS”

 

レクシスネクシス・ジャパン株式会社
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