【プレゼンテーションのもつ力】コミュニケーションのもつ力を最大限に活かす方法

プレゼンテーションの必要性
なぜここまでプレゼンテーションが必要とされているのでしょうか?アップル復活に導いたスティーブ・ジョブズ、黒人初の大統領になったバラク・オバマ大統領、国内では東京オリンピック誘致の成功など、プレゼンテーションから人の心を動かす必要性について目の当たりにしたからかもしれません。

日本の技術や魅力が世界に伝わりきっていないのは、プレゼンテーション力が低いから、そんな考えもあるのかもしれません。今では子供たちにプレゼンテーションを学ばせたい親御さんも増えてきました。


そんな私もTEDのライセンスプログラム「TEDx」の1つである「TEDxKids」を収得し、未来を作る子どもと子どもの環境を作る大人に向けて価値あるアイデアを共有するプレゼンテーションイベントを日本で唯一運営しています。


そんな社会的な背景からか、私たちのような小さなコミュニティにもマスメディアや学校や塾などの教育化関係者などから問合せが年々増えています。私はキュレーターという立場で、テーマとTEDxのコンセプトにあった登壇者の選定やプレゼンテーションコーチング、ステージの演出などプレゼンテーションの場を作る上で様々なことを行っています。


今回はプレゼンテーションの持つ力を最大限に発揮させる方法について、私の経験からお話したいと思います。当然のことですが、プレゼンテーションもあくまでコミュケーション方法の1つです。目的や状況、制約条件によって、コミュケーション方法は異なります。


たとえば、事実を簡潔に伝えるための「報告」や投資家たちに新しいアイデアを売り込み投資を得るための「ピッチ」、購買につなげるために製品やサービスを体験してもらう「デモ」など様々なものがあります。


相手に何かしらの情報を与え、行動を喚起させるコミュケーションであれば、私は広義のプレゼンテーションとして捉えています。ある意味「プロポーズ」もプレゼンテーションであり、必ずしもステージに立って話をすることだけがプレゼンテーションではないのです。


そんなプレゼンテーションで最も重要なのは、そのコミュケーションを行なう「場」とそこで話される「ストーリー」そして、そこにかける「想い」になります。紙面の都合上、今回は「場」に絞ってお話したいと思います。


プレゼンテーションにおける最適な「場」とは
最適な「場」を作れると期待する行動に移してもらえる可能性が高まります。では、その最適な「場」とは何か?それは、相手の顔が見える距離間で、少人数で行なう非日常的なリアルな空間になります。


話の内容が重要だと感じれる、信頼関係を生み出しやすい、相手の感情が読み取れる、周りの反応がわかる、聞いた人たちが自分の考えを交換できる、そんな「場」です。


話し方やスピード、ジェスチャーや資料などの伝え方も大事な要因ではあるのですが、それよりも重要なのは、このような「場」で行なう方がはるかに重要になります。


これは全て、脳の仕組み、特に扁桃体、海馬、ミラーニューロンによって生み出される記憶と学びのメカニズムに行き着くと考えています。情報を長期記憶に保存する仕組みとして、人間は何かしらの感情を抱くとそれらを司る扁桃体から短期記憶である海馬に神経伝達物質を出し、その指令から長期記憶に保存するかどうかを判断しているそうです。


実は嗅覚も扁桃体と密接な関係にあり、町ですれ違った他人がつけている香水の香りから昔の恋人を思い出したり、夏の夜風に含まれる香りに触れた時に、小さな頃の記憶が突然よみがえるという経験をされた方もいるかと思います。


そのような経験からも扁桃体に刺激を与えることが、記憶に大きく作用していることが理解できると思います。またミラーニューロンという神経細胞は、他人の行動やストーリーから、まるで自身が同じ行動をとっているかのように脳の各部位を活性化させます。


脳の追体験を通して、その時抱いていた感情も他人に伝搬するそうです。当然、その追体験からそれぞれ湧き起こる感情もあるでしょう。私は、その感情の伝搬が、聞き手の扁桃体を刺激し記憶の定着に繋がると考えています。


TEDスピーカーでもあるシアトルワシントン大学のパトリシア・クール教授は、赤ちゃんの言語学習に対する実験結果から「同じ情報が映像を通しては身に付かないのに、人間が言えば身に付く。この結果は、社会的な人との関わりが、学習にはきわめて重要であることを示している」と述べています。

このメカニズムについてはまだ解明されていないようですが、ミラーニューロンと密接に関わっていると考えられています。映像などではミラーニューロンが刺激されず、感情の伝搬や想起が生まれないため、扁桃体が活性化されず、長期記憶に流れ難くなるではないかと考えています。


皆さんの中には、“メールでは伝わらないので、電話で伝えろ”、一度は上司に言われたことがある方もいるかもしれません。ここで言う“伝わる”というのは、ロジックを理解するだけでなく、相手に期待する行動をおこしてもらうという意味も含まれています。


メール、テキストチャット、電話(音声チャット)、ビデオチャット、対面での会話の順で、相手に伝わるということを感覚的にご理解いただけると思います。Facebook メッセージやLine などのテキストによるチャットは、電話を使わなくなった世代にとっては、メールと電話の間、電話とビデオチャットの間などと若干意見が別れるかもしれない。


伝達力の差はどこからくるのか
では、その差は一体何か?端的に言えば、情報量の違いになります。テキストデータから音、相手の顔がわかる視覚情報などと増えていきます。情報量と言っても単なるデータ量の話だけでなく、より相手の感情が読み取れること可能な双方向なコミュケーション方法になっています。


ロジックで攻めても言語野が活性化するが、扁桃体に作用せずに長期記憶には繋がらないようです。将来、もしリアルな場と同等の情報量、特に感情を伝えることのできる技術が出てくれば、この限りではないかもしれません。


皆さんは、ソーシャルメディアやキュレーションメディアから流れてきた“参考になりそうだな”と感じた記事を見て、その次の日、もっと短く数時間後でもその内容を覚えていますか?もしくは後で見てようと思って、ブックマークしておいたにも関わらず、そのまま2度見ることなく、ブックマークがものすごい量になっていたりしませんか?


人間の脳が処理できないほど情報過多の時代において、どれだけ記憶にとどめてもらえるかが重要になっていきます。感情に働きかけ、記憶に留めてもらうことが重要であり、それに加えこれから話す内容が重要だと、いつも違うことなのだと理解してもらい、事前に相手のモードを変えることも重要です。


特にリラックスした非日常空間を演出することにより、相手の心の扉を開かせることができます。蛍光灯だらけのいつもの会議室では、どうしてもなかなか相手に伝わらないのは、それはいつもの頭のモードになっていることも原因にあります。


長期ビジョンを計画する時や社員旅行などに、保養地などの開放的な空間で行なうことがあると思いますが、その時はいつもと違い未来志向の話が出来たという経験もあるかと思います。


人は自分が意識している以上にその場に流れる雰囲気や感じられることなど空間が持つ機能に大きく作用されているのです。人と人がコミュケーションする上で必要な要素として、信頼関係もあります。


自分の趣味や考えの異なる政治家や芸能人など普段合わない人たちに対して、何かしらの嫌悪感を抱いている方も多いかもしれません。でも実際に会ってみると、相手の考えを尊重し、相手に対するイメージが変わる場合もあります。もしくは会う前とは逆にファンになってしまったという方もいるでしょう。


実際に人と会うことにより、相手の本気度やキャラクターなど人の存在を感じられ、1人の人間として尊重する、そして画面上の“向こうの人”ではなく、その場にいる身近な存在になり、信頼感が生まれてくるのではないでしょうか?そして直接的なコミュケーションから何らかの感情が生まれ、記憶定着に繋がるのだと思います。


良いか悪いかは別として、政治家が政策よりも地道に人と会うドブ板戦略に全力投球するのはそこにあるのでしょう。最初に小規模な場の重要性について触れました。ここでいう小規模というのは、30名〜50名程度どんなに多くても150名〜200名ぐらいだと思っています。


まず自分以外の聞き手がどんな反応しているのか、意識的にも無意識的にも人は判断しています。特に今まで聞いたこともないような話を聞いた時、他人の意見や反応などを元に相対的に判断している人たちが多いのです。


信頼する人や尊敬する人たちがすごく感動していたり、すごいと評価していたりすると、自分はよく理解や共感できていないけど、意見に同調することもあるかと思います。周りの空気に飲まれたという方も多いでしょう。


リアルとソーシャルメディアとの連携
前述の通り、リアルな場ではミラーニューロンが刺激されます。そこから相手の体験や思いを追体験し、自分の経験や自分の状況に置き換えてみて、共感する人たちが増えやすくなります。本当の意味で理解や共感しきれていない人たちも周りの影響で、共感化が進んでいきます。


そこで共感してくれた人たち、記憶に深く刻まれた話をソーシャルメディア上で発信するのです。リアルな場でことを起こし、そこからソーシャルメディア上で拡散がはじまります。


池に石を投げると波紋が生まれるように、その石を一人一人の共感度と捉えると、投げ込む石を波紋を多くつくることにより、その波紋を受け、さらに石を投げてくれる人も増えてくると思います。その波紋が遠くに飛ばすことの出来るインターネットやソーシャルメディアが生まれてことにより、世界を巻き込んだものへと発展する場合があります。


少人数の理由
拡散という視点でいえば、究極的に言えば、最初の一人一人の共感度をどこまで高められるかということに繋がります。まったく知らない関係性のない人よりもある程度で信頼関係が生まれた関係性の中でコミュケーションを行なうことにより、より共感が広がります。


プレゼンテーションが終わった後に自分の感じたことを共有することにより、またミラーニューロンが刺激され、そこでさらに共感化が進みます。参加している人たちの人数がある一定数を超えてしまうとその関係性を構築しずらいのです。


ここでは触れませんが、TEDx をはじめとする最近のイベントでは、関係性の密度を高めるプログラムを意図的に盛り込んでいたりします。


アメリカを中心に、最近ではデジタルマーケティング戦略の次はリアルな場を活用したコミュニティ戦略だと言われ始めていて、WEB上で完結できるようなWEBサービスでさえも、リアルなイベントを行い始めています。


人は希少性に対して価値をおきます。ネット上で手軽に入手できるような情報よりもその時にしか体験できないことに重きをおくのは、必然なのかもしれません。


プレゼンテーション手法やITなどを含めたイベントテクノロジーの発展は、今後さらに注目されていくと思います。この記事の流れから言うと、ひょっとするとここで書かれている内容も記憶に留めていただけないかもしれませんね。何かの機会に皆様と直接お会いできるのを楽しみにしています。



青木 竜太 (あおき りゅうた) @ryuta_aoki
TEDxKids@Chiyoda キュレーター
20歳の時に友人らとITベンチャーを起業し、その後プログラマーとしての道を歩む。2009年にTEDxTokyo にボランティアの申し込みをしたことをきっかけに、現在までに国内外30を越すTEDx カンファレンスに参画する。 2011年9月に、TEDx の友人らとクリエイティブ・コミュニティ創出・運営を専門とするデザインファームVOLOCITEE Inc. を起業。
2011年11月、日本初のTEDxKids (ライセンス名TEDxKids@Tokyo) を開催。 2012年にTEDxKids だけを開催する新たなTEDx(ライセンス名:TEDxKids@Chiyoda)を起ち上げた。今年は、11月22日に開催予定。
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